日帰りICL手術
SURGERY
眼内コンタクトレンズ治療について
ICL(Implantable Contact Lens)
眼内コンタクトレンズ治療とは角膜を削らない視力矯正法で水晶体のピント調節機能を残したまま、ICLと呼ばれる眼内コンタクトレンズを虹彩と水晶体の間の「後房」と呼ばれる位置に移植して近視・遠視・乱視を矯正します。
あざやかな見え方でドライアイや夜間のハロー・グレアの出現が少なく、長期間安定性に優れた結果が期待されます。
いったん挿入したレンズ(ICL)は、メンテナンスフリーで長期間良好な状態を維持することができます。
レンズの素材
ICLのレンズは、「コラマー(Collamer)」と呼ばれるHEMA(水酸化エチルメタクリレート:hydroxyethylmethacrylate)とコラーゲンを含んだ親水性の柔らかい素材でできています。
コラマーは生体適合性が高く、目の中に入れても異物として認識されにくい、大変優れた素材です。特別なメンテナンスをする必要もなく、目の中で長期間にわたって透明な状態を維持し、レンズとしての機能を果たします。日本の厚生労働省が認可した唯一のフェイキックIOL(有水晶体眼内レンズ)です。
コンタクトレンズやメガネ以外の方法で視力を矯正する方法にはレーシック手術があります。しかしこのレーシック手術は角膜を削るため、強度近視やもともと角膜が薄い方には適用となりませんでした。ICLはこのような方でも矯正することができます。
ICLのメリット
1. レーシックはできない方も施術可能
レーシックでは矯正できない強度近視や角膜の薄い方、円錐角膜や角膜拡張症のリスクが高い症例も、施術が可能です。
2. 角膜の厚みや形状の影響を受けない
ICLは眼内コンタクトレンズによる屈折矯正手術のため、角膜の厚みや形状の影響を受けません。
3. 網膜像の倍率変化がほとんどみられない
眼鏡、コンタクトレンズ、レーシックでの近視矯正では、いずれも被写体側に近い方に凹レンズがあるため網膜投影が小さくなります。10Dの近視を矯正すると網膜像は眼鏡で約85%、コンタクトレンズやレーシックで97%に縮小します。一方、このICLによる治療は眼内にコンタクトレンズを挿入するため、網膜像の倍率変化(縮小)がほとんどなく、より大きく鮮明にものを見ることができます。
4. 術後、角膜知覚の低下がなくドライアイを生じにくい
レーシックではフラップ作成による三又神経の損傷で、一時的に角膜知覚が低下しドライアイを生じる可能性がありますが、ICLはフラップ作成が不要であり角膜知覚の低下がないため、ICL治療によるドライアイの悪化は心配ありません。
5. 術後のコントラスト感度も良好
レーシックでは角膜中央部の切除により形状が平坦化し、球面収差(細かなひずみ)が増加しますが、ICLでは収差は変わらずコントラスト感度も良好です。
6. レンズを取り出して元の状態に戻すことができる
レーシックでは偏心照射、角膜拡張症(ケラトエクタジア)、難治性イングロース(フラップ下への角膜上皮細胞迷入)といった合併症を引き起こした場合には視力回復が困難な場合があります。一方、ICLにみられる合併症は、ICLを取り出すことで元に戻せるものが多く、白内障(水晶体混濁)が生じた場合でも白内障手術で視力回復ができるなど、いずれの合併症もリカバリーしやすいことが知られています。
また、前房虹彩支持型のフェイキックIOLの場合、虹彩の支持部が萎縮してレンズが外れることがあります。ICLの場合はレンズの偏位や位置ズレをおこしにくい安全性の高いレンズと言えます。
手術の流れ
1. 角膜切開
目薬で瞳孔を拡大させ、点眼麻酔をして角膜の縁を約3㎜切開します。前房内に粘弾物質を注入し、角膜や水晶体を保護します。
2. レンズ挿入
切開した部分からレンズを眼の中に挿入します
3. 固定・洗浄
レンズを虹彩と水晶体の間に固定します。前房内に注入した粘弾物質を吸引し眼の中をきれいに洗浄します。
4. 瞳孔収縮
瞳孔を収縮させ手術は終了です。
適応条件
- 年齢21歳以上(45歳ぐらいまでが望ましい)
- 術前等価球面度数-6.0 D以上の近視
慎重適応(下記の場合は手術ができないことがあります)
- 21歳未満(家族の同意が必要です)
- -3.0Dから-6.0D未満の中等度近視および-15.0Dを超える強度近視
- 術前円柱度数が2.5D以下(今後、乱視用レンズの認可で適応範囲が拡大する予定)
- 非進行性の軽度な円錐角膜で矯正視力が比較的良好な場合
禁忌
- 浅前房(2.8mm未満)および角膜内皮障害
- 妊娠中又は授乳中
- 目の病気のある方(白内障、緑内障、網膜疾患、虹彩/ぶどう膜炎、水晶体亜脱臼、偽落屑症候群など)
- 進行性円錐角膜
- 重篤な全身疾患をお持ちの方(重篤な糖尿病、膠原病など)
- コラーゲンに対する過敏症
- その他、全身的、眼科疾患を伴うこと等を理由として医師が不適当と判断した症例